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コントラバス弾いとるんじゃけぇ

旅は道連れ世は情け

151110 広響定期#354 感想

こんにちは。

未だに火曜日の幸せに浸っております、たじゃすです。

というわけで感想をまとめます。

●前プロ_モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲

 コンマス弾き振りなのに、冒頭からフレーズ観がピッタリで震える。ベートーヴェンも多いけど、ああいう冒頭の白抜き音符の方が実は共有が難しいんですよね。今回大当たりじゃ!と予感した瞬間でした。アレグロのテーマが様々な楽器に移り変わっていくのが面白い曲ですが、弦楽器はその特性を個性に昇華した状態でフレーズを受け継いでいたように思えます。シュトイデさんの煌びやかな音も素晴らしかったですが、客演首席Cb吉田秀の楔に見惚れてしまいました。何かの雑誌でバシストにとってプロの壁の1つに”スピッカート”があると吉田秀さんが言われていたのを読みましたが、本当にそうだなぁと彼を見る度に思います。

●中プロ_メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調

  圧巻の一言。今年の夏にアルゲリッチさんのベトコン1番を聴いた時の感覚が蘇りました。超一流は曲に意味を与えてしまう。メンコンは、聴き手の中に必ずイメージがある超有名曲です。僕なんかはメンデルスゾーンのスーパー勝ち組人生が曲調に映し出されてる曲だと思っていて、輝けば輝く程この曲は活きると思っていたのですが、なんのなんの!シュトイデさんの演奏は爆発的な輝きではなく、どんな環境でも暖かく人の心を照らす煌き。豪華絢爛な宝石箱ではなく、見れば見るほど吸い込まれる磨き上げられた1つの輝石のようでした。一挙手一投足…下手したら不随意筋までコントロールされているのではないかと思うぐらいに演奏すべてに意味を感じた。僕があまり好きでない表現ですが、何が良かったのかと聞かれても「すべて良かった」しか言えない、悔しい!!

 また、広響もその煌きに導かれるように(引っ張られたという表現は違う)…その演奏の純度を上げていきました。もちろん、指揮者がいても協奏曲は合わせるのは難しいので細かい崩れは感じましたが、シュトイデさんの音楽に対して真摯であり、久々に協奏曲で同じ土俵にいる広響を聴いて嬉しくなりました。*1

●メイン_ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調「運命」

  こりゃ凄ぇ…。ベト5は聴くたびに「あー、名曲!!!」と思いますが、今回は超!名曲!!と思いました。シュトイデさんの入りがスーパーカーの唸りのようで、Vnのテンションも初めっからクライマックス!そのテンションが最後まで続いたのだから、スーパーカーの牽引力たるや恐ろしい。チェリ&ミュンヘンフィルのVnかと間違えるぐらいにビロードの様な音色でまとまっていた。

 しかし、驚くべきは吉田秀!!…さん。オケマンとして日本一だと思っていたが、もはや彼はワールドクラスかもしれない。シュトールのマスタークラス動画を観て学んだこと以上のものがそこにあった。Pizzのふくよかさ、ピアノの多彩さ(Pizz→Arcoの素早い切り替えからのピアノは”慈しみ”という言葉が当てはまる)、Cbのベト5と言えばの2楽章のLowC、3楽章のテーマ…とにかくどこをとっても素晴らしかった。さらに言えば、吉田秀さんはパートをまとめるタイプなので、余計に震えました。

●個人的に

先日のベルリン・ドイツ交響楽団を聴いた時も思ったが、僕は演奏会を聴く上でプレイヤーとしての立場から抜けられないようだ。彼ら超一流は僕が何度人生を捧げても届かない位置にいると肌身に感じると、おこがましくもとっても胸が苦しくなる。曲がりなりにも成長したからこそ正しいモノサシを得たんだ、と自分を慰めてます。

 なんにせよ、ブラボーだった!今年の演奏会で最も心震えた演奏会でした!!

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*1:どちらかというと、広響は”排他的な広島に本拠にするだけあり”広響単位での結合力が強くて、ソリストと馴染みにくい印象がある