コントラバス弾いとるんじゃけぇ

旅は道連れ世は情け

151220 山口大学管弦楽団 定演#58

151220 山口大学管弦楽団第58回定期演奏会

 感想を書く前に僕が山大オケのOBであることを表明しておきます。故に関係者から内情を聞いてしまっていること、1ヶ月前のホールリハーサルを少しだけ聴いてしまっていることなど、純粋な観客とは言えないかもしれません。

 今回の演奏会、前情報からの特徴は

①客演指揮に川本貢司氏を初起用

山口県交響楽団が2週間前に同会場でブラ1を演奏していること

③開催日が日曜日

この3点でした。

 ちなみに、1ヶ月前リハでブラ1の3・4楽章を聴いた時に、今の山大オケって何が強みなんだろう?と思ったことを挙げておきます。学生オケは、おおまかに言って弦・木管金管・打楽器のどっかは強いもんだけど、一人のエースの力が波及されてなくて、パッとしない印象でした。

 

さて、本題に入りましょうか…いやその前に。

  • 集客について

 山大オケは集客数を発表してきていないので、今年も詳細は分からないが、僕が在学中で1番多かった2009年の本部定(ベト3・中井先生)の720人よりは多かったように思える。ホールの構造的に800人はオーバーしてそうだけど、大台は達成しているのだろうか。なんにせよ、今年はWeb展開にも熱心に取り組み、県外の演奏会にもチラシの挟み込みなどを行っていたようで、とても嬉しく思います。

 そういえば、客席を見渡してみて、今までとは違う新たな客層が存在していたような気がします。クラシックに興味が薄そうな人々が目立ったように見え、今後に繋がる資産になるとよいですねぇ。

 

さて、それでは演奏について。

 まず選曲からして中々によい。ハ短調のブラ1にハ短調で始まるコリオランを当てるってのは良い。前プロは3年主体で彼らがこれを意識してるかは別として、偶然だとしても良いプログラム。

 演奏は初めのユニゾンからベートーヴェンの音がしていた。何より3年生らが去年の弦楽でやりたかったことが出来るようになったと感じた。テンポは激重だったが、去年には無かった音楽の流れは存在した。もちろん、常任トレーナーのいない弱小学生オケなので出来ることと出来ないことはあるが、音楽の方向性が感じられたのはとても喜ばしい。来年に期待してしまう。

 ただ、いつ転ぶか分からない不安定な分散和音にヒヤリとした面もある。特にVcは下の音を気持ち主張すると安定するし、推進力が増すでしょう。そして、Cbはブラ1で意識したであろう厚めの音をこの曲でも使い分けられればなお良かった。そういや、コリオランは譜面ヅラは易しい部類に入るので、1年生も良いデビューを切れたのではなかろうか。

 個人的に、ベートーヴェンの指揮は回転型より直線型の方がイメージに近いんだけど、演奏が良かったので棒テクよりも練習での意思疎通でカバーしたのかな。とりあえず、棒が肘より下にいかないことだけは意識すると、本番でのアジャストがスムーズになるかと。

 パンフレット見て気付かされたんですが、2011年から毎年必ずチャイコフスキーを演奏会で取り上げてて、しかも団内演奏会では必ず「1812」を演奏してるので、オケ全体にチャイコフスキーの空気感は共有出来ているんですね。

 というわけで、スラヴ行進曲…良かったです。フレーズ感も共有出来ており、音楽の流れがそこにありました。しょっぱなから変ロ短調とかいう当てづらいこと極まりない曲ですが、1812の変ホ短調を毎年見てる団体からか…安心できる演奏でした。

 お小言をあげるならば、TbTuを筆頭に低音域が浮き気味で、ロシア国歌の勇壮さが市民会館に打ち克てていなかった。その影響で木管を主に全体的にピッチが上ずる瞬間が多発していたかな。あー、管楽器はさっぱりですが、いわゆる腹筋が足りないのか息の密度が欲しかったところ。低弦はノリで弓を使い過ぎなければ改善できるでしょう。

 とはいえ、コーダからの華々しさは決して曲の魅力のみではなく、彼らの演奏によるところがあった。うん、良い演奏だった。

 ちなみに、この曲の学指揮は成長したと本当に思う。オケがどう思っているかは別として、指揮の基本的な部分は抑えており、彼の指揮を見て演奏を通すことが出来ると思う。ただのメトロノームには成り下がっていなかったし、無茶な要求も棒からは送られていなかった。うん、お疲れ様。

 さて、ブラ1。ここまでで、やるじゃん山大オケ!という気持ちになっていました。これはもしかするともしかするかも、化けてるかも!?という期待でいっぱいでした。

 …結果として言うならば

良く言って「落ち着いた演奏」、悪く言って「面白くない演奏」

大雑把に気になった点を書きます。

・拍に合わせていっている演奏

・パート内でのズレ (いわんや他パートとのアンサンブルをや)

 →この2点の問題により曲が崩壊しかけること(少なくとも)3回

 ※しかも内1回はコーダ後、修復の仕方も無理やりすぎた。

・Obソロ・コンミスソロ(他も然り)の部分に、オケからソロに付けよう!という気が感じられなかった点。

 →Obは細いながらもダブルリードの特徴を武器に、しんしんと通る世界を構築する音だったように感じたが、それをガン無視のオケに笑ってしまった。これは去年のチャイ5を思いだしたが、今年はもっとすごかった(笑)…コンミスソロも圧巻の演奏だったが、上手く接合できておらず、細く伸びやかな響きのみが目立った。

・指揮者がオケを置いてけぼり問題

オケが指揮者に付いていけないだけなのかもしれないが、指揮がとにかく優しくない。自分の求める音楽ばかりが先行し現実に鳴らしている彼らを直視していない。当たり前ですが、指揮者の価値は本人が何を言っているかではなく、オケがどう鳴っているかが全てだ。指揮とオケのテンションの溝の深さで言えば、3曲中No.1だったのが気になるところ。

…辛めなこと書きすぎもどうかと思うので、発見をば。個人的にはVcのパート統率が上手くいってたかなと。スタープレイヤーがいないからこそ、パートとしての力が増したのかもしれない。転ぶ感じもかなり改善されててGoodだった。Cbはいつの時代もそうだけど…個性大爆発!//という感じ。Cbはそれでも音はそれなりにまとまるから良いよねぇ(笑)

 なぜファランドール?というのはともかく、さすがに開放弦揃いぶみのニ短調→弦・金管の鳴りやすいニ長調のこの曲。今回の中で1番鳴った。おそらく会場の観客受けが1番良かったのはアンコール。冒頭でも書いたけど、新たな客層の目立った今回の演奏会…最後に良かったね!と思わせられたのは大きい。

  • 最後に

 メインは散々なことを書いたが、曲としてはいわゆる通俗的名曲ばかりで、曲そのものから得られる音楽的エネルギーは大きかったと思います。ブラ1だからこそ、ここまで書いたというのもあり…僕の感想はいわゆる「名曲をやるプレッシャー」の発現の1つかもしれない。うん、ですが、名曲を敢行するというのはそれだけで後輩に音楽をやる喜びをプレゼントしてると思います。

 あー、何だかんだで辛めのことを書いてしまったが、前中は中々に良かったのは本当です。演奏会において観客に響くのは、アンサンブルが機能することによる音楽の流れであり、その生命の奔流とも言うべきものを生かし続けるために基礎技術はある。基礎的な部分と向き合わざるをえなかった序曲「コリオラン」は来年を楽しみにさせてくれた。

お疲れ様でした。   CbOBベレレ

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  • 蛇足

 去年の演奏会を聴いた観客として書きます。去年のチャイ5の2ndClで魅せた人物がブリリアントな響きをすっかり失い、萎縮した音になっていたのは少し残念だった。練習でどんな感じだったか(下手すりゃ現役よりも出席している)身内(同期's)から聞いてるので、今回は仕方がないと思いますが、ぜひとも早めの復活を期待している。